自由分子水を生成する「ハイエット」再解明 | フィールドテスト事例

育成光線波長帯(バンド)が、水の分子生成にエネルギーを与えていることを 赤外スペクトルが解明:元気な水、「ハイエット」から産まれる自由分子水・・・

赤外分光法によるハイエット処理水の分子構造遷移に関する実験報告書


茨城工業高等専門学校
機械システム工学科
教授 根本栄治

1.水の基本振動数について

水(非直線状分子)の構成分子に対する赤外スペクトルは、水分子全体に対して水分子を特徴的づけるものであり、ハイエット素子によりバルク状の水分子がその赤外吸収スペクトルにいかなる影響を与えるのかを実験的に定性的、かつ定量的に分光学的手法を用いて測定することは極めて重要なことである。 ここで、水分子の持っている基本振動数の波数モードについて確認すると、図1のようになる。(α1:対称伸縮モード、α2:変角モード、α3:逆対称伸縮モード)

図1 水の基本振動モード

図1 水の基本振動モード

水の固有振動モードの波数と波長を整理して表したものを、表1に示す。これらの基本モード表では、比較、検討のため二種類の文献値として示した。

表1 液体としての水の基本振動モード値

図2 吸光度と透過率の関係

図2 吸光度と透過率の関係(日本分光(株)マニュアルから参照)
(吸光とはエネルギーの吸収、透過とはエネルギーの非吸収)

ゆえに、赤外分光においては、これらの水分子の基本振動モードに対応する分光分析結果を調べれば容器中の水分子の成り立ち、および分子の構成状況が解明できることになる。

2.赤外分光法における吸光度と透過率の関係について

水は2個の水素と1個の酸素によって構成されているので、水分子に基づくO-H基などの液中の光吸収帯の分布の様子を分析すれば、その時の水の種々の状態を詳細に解析できる。この時、次の周知の関係が知られている。(図2参照)


%T=100-%Abs  ............... (1)

ここで、T:透過率(%)、Abs:吸光度である。また、吸光度Absは、I0:入射光強度、I:透過光強度とすると、次式で求められる。

Abs=log(I0/I)  ............... (2)

よって、これらの関係式を用いれば、AbsからTに直接変換できる。

3.水分子集合モデルについて

一般に、水分子は液体容器中で多くの分子が集合体を形成し、1ps(10-12秒)のオーダーで生成、消滅を繰り返して塩基、配位子として働きながら、水分子自身の一部がイオン化して、次のような形で化学的平衡を保つ。

H2O ⇒ H+ + OH- ............... (3)

さらに、水は、図3に示すように水分子の大きな集合モデル(水分子のクラスター)を構成している。従って、水は単独にH2Oの状態で存在するものは限定的であると考えられている。

図3 水集合分子モデルおよび水分子の質量-バネモデル

図3 水集合分子モデルおよび水分子の質量-バネモデル

4.ハイエット処理水の電気導電率変化について

図4は、ハイエット処理水の電気導電率測定装置、および図5は、電気導電率

図4 ハイエット処理水の電気導電率測定装置

図4 ハイエット処理水の電気導電率測定装置による測定実験

図5 ハイエット処理水の電気導電率の時間的変化測定図5 ハイエット処理水の電気導電率の時間的変化測定の時間的変化時の測定結果を示したものである。実験方法は、大きさの異なる二種類のハイエット素子内に石英ガラス製のビーカに一定量の水を入れて取り付けた後、ハイエット素子挿入時の時間をt=0とし、時間の経過と共に水の電気導電率がどのように変化するかを測定したものである。この測定結果により、ハイエット処理は、水分子のイオン化を促進せず、水分子のイオン化現象にほとんど寄与しないことが分かった。すなわち、 ハイエット処理水はOH-とH+の平衡状態を保っており、水分子集合体をコントロールする作用を有しているものと考えられる。

5.実験で用いたFT/IR-610型赤外分光光度計

図6に、実験で用いたフーリエ変換型FT-IR-610型赤外分光光度計(日本分光

図6 赤外分光光度計

図6 赤外分光光度計FT-IR-610型(日本分光(株)マニュアルから参照)

本装置の測定原理は、測定すべき試料に光を照射すると広い波長範囲のエネルギーが試料に与えられ、モノクロメーターを使っていないので、全波長の光が同時にセルを通過するため、完全な赤外分光スペクトルが短時間に与えられ、分解能の極めて高い分光計測ができることである。本実験では、このFT/IR装置を用いて赤外分光実験を行うこととした。

6.ハイエット処理水の赤外分光実験

(1) 実験場所:産業技術総合研究所
(2) 実験日:第1回実験;H21年12月11日(金)10:00~17:00
         第2回実験;H22年2月25日 (木)11:00~16:00
(3) 測定装置:日本分光 FT/IR-610型測定装置
分解能:0.5cm-1 、測定波数範囲:7800-350cm-1
測定波数拡張範囲:15000-50cm-1
(4) 測定実験法:128回測定後の加算平均
(5)実験条件:セルにおける水のサンプル体積V=0.5cc

7.実験測定結果

(1)第1回実験(128回測定平均値の比較)
ハイエッ処理時間(素子内への封入時間):t=2時間

図7 ハイエット処理水道水の赤外分光結果の比較

図7 ハイエット処理水道水の赤外分光結果の比較(波数表示:H21-12/11)
(α1=3210cm-1に明確なハイエット効果が現れていることに注目)

図8 ハイエット処理水道水の赤外分光結果の比較(波長表示:H21-12/11)
(λ1=3.115μmのピークにハイエット効果が顕著に現れている)

図9 赤外透過率測定

図9 ハイエット処理水道水の赤外透過率測定(波長表示:H21-12/11)
(λ1=3.115μmの透過率%Tの低減ハイエット効果に注目)

(2)第2回実験(128回測定平均値の比較)
ハイエッ処理時間(素子内への封入時間):t=30分

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図10 ハイエット処理水道水の赤外分光結果(波数表示:H22-2/25)
(α1=3210cm-1に顕著なハイエット効果が現れていることを示している)

図11 ハイエット処理水道水の赤外分光結果

図11 ハイエット処理水道水の赤外分光結果(波長表示:H22-2/25)
(λ1=3.115μmのピークにハイエット効果が出現)

図12 ハイエット処理水道水の赤外透過率測定

図12 ハイエット処理水道水の赤外透過率測定(波長表示:H22-2/25)
(λ1=3.115μmの透過率%Tの低減効果が現れていることに注目)

8.考 察

フーリエ型FT/IR赤外分光光度計を用いて2度に亘り詳細に測定した結果を、図7から図12までの結果として纏めて示したが、これらの結果を光の吸光度Abs、および透過率%Tとして纏めると、表2のようになる。

表2 赤外線分光測定結果比較

これらの結果より、ハイエット処理水の赤外領域の光の吸光度が増加し、透過率が減少していることが分かる。

ここで、これらハイエット素子による水に対する吸光度増加、若しくは光の透過率の減少がなにゆえ生じるのかを考察することとする。

一般に、有機化合物などの化学的構造を明らかにする手法として、スペクトルによる同定法が、有効な分析、解析法として知られている。これは、分子モデルの基本振動モードなどに着目して解析する手法であり、非接触で光学的に測定できる重要な方法である。

水は、振動モードが質量-バネモデルを用いることにより容易に解析できることが知られている。この振動モードは、水分子が空間に水の分子として単独に存在するときの振動モードである。しかしながら、水の分子は、互いに相互作用に基づく分子間力が作用し、単水分子のモードとは若干異なる振動状態を形成する水分子群として存在することになる。

よって、水分子の基本構造であるO-H基の伸縮振動による吸光度、若しく透過率を解析すれば単水分子の構成状態が分かることになる。一方、多くのO-H基の伸縮による吸収は、3300~2500cm-1にあることが知られている。これは、自由水分子の表1の対称伸縮振動モード3210cm-1でよく説明できる。

この観点から、図7および図10の実測結果を考察すると、ハイエット処理時間の差はあるものの3334、3342cm-1の波数で吸光度が増加し、それに反して透過率が減少することを明示している
前記のグラフ解説でも記した様に、吸光度の物性素材として、ステンレス素材のハイエットがベストの値を示したことは、今までの科学の常識概念ではあり得ない実験結果となった。
これらのハイエット素子による水分子の遷移現象は、次のように式(4)、および図13を用いて説明、解釈される。

式(4).........(4)

ここで、Na:単位体積中の水分子総数、Nb:単水分子総数、Nc:水集合分子総数である。
前述の実験より、式(4)の右辺3,4項は、ハイエット処理によって殆ど変化しないことが水の電気導電率の測定実験で明らかにされたので、赤外線吸収に依存するのは、右辺1、2項となる。(図14参照)

図13 ハイエット効果における水分子数の遷移モデル

図13 ハイエット効果における水分子数の遷移モデル

生命科学 OH-とH+、水のイオン化についての関連補足です。

図14 水中のOH-基とH+基の平衡状態の概念図

図14 水中のOH-基とH+基の平衡状態の概念図

また、単水分子は、質量-バネモデルによる共振周波数(振動モード)である3210cm-1にあるので、この振動モードに関係する水分子が、外部から入ってくる光を吸収して吸光度Abs、若しくは透過率%Tとして観測、測定される。

一方、式(4)の右辺第2項の水の集合分子総数は、ハイエット素子の作用を受けて、その水集合分子の一部が量子力学的に励起するなどしてO-H基を基本とする単水分子に遷移すると考えられ、その結果として吸光度が増加するものと考えられる。すなわち、結果的にハイエット処理水の吸光度Absが増加し、透過率%Tが減少することになる。

図15 ハイエット効果発現メカニズムの概念図

図15 ハイエット効果発現メカニズムの概念図
(実際の水素結合は一直線で分子整列状態)


これは、ハイエット素子のもつ潜在的な実用的な有効性を示すものであり、さらにミクロな物理的現象としてその作用過程の詳細を引き続き解析、解明していく必要があると思われる。

9.結 論

本赤外線分光実験により得られた実験結果を纏めると、以下のようになる。
(1) ハイエット処理操作は、水集合分子の結合を引き離し、水の集合分子体を数%程度の割合で単水分子化させる分子化促進効果があることが分かった。(図15参照)
(2) ハイエット処理水は、水にハイエット素子を作用させることにより創成することができ、水分子自体の吸光度を増加させ、吸収率を減少させることが分かった。
(3) ハイエット処理の分子促進効果は、時間に比例して作用することが分かった。
(4) ハイエット処理水のOH-イオン濃度、H+イオン濃度は、ハイエット素子により殆ど影響を受けないことが判った。

これらの実験事実は、従来報告されたことの無い驚くべき新しい実験的知見である。これは、ハイエット素子の有効性を示すと同時に、ハイエット素子が全く新しいタイプの活水器として新たな可能性を有していることを示唆している。
以上


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